退職後は健康保険の切り替えが必要
会社を辞めると、翌日から会社の健康保険を使えなくなります。退職後の健康保険は、以下の3つの選択肢から選びます。
3つの選択肢
| 選択肢 | 概要 | 手続き期限 |
|---|---|---|
| 任意継続 | 退職前の健康保険を最大2年間継続 | 退職日の翌日から20日以内 |
| 国民健康保険(国保) | 市区町村の健康保険に加入 | 退職日の翌日から14日以内 |
| 家族の扶養 | 配偶者や親の健康保険の扶養に入る | 速やかに(5日以内が目安) |
手続き期限を過ぎると選択肢が狭まります。特に任意継続は20日以内が厳格です。退職前に方針を決めておきましょう。
1. 任意継続(任継)
退職前に加入していた健康保険を最大2年間そのまま継続できる制度です。
保険料の仕組み
- 全額自己負担:在職中は会社が半額負担していたが、退職後は全額自分で支払う
- 保険料の上限:標準報酬月額に上限あり(協会けんぽの場合、2024年度は30万円が上限)
- 月額目安:退職時の保険料の約2倍(会社負担分がなくなるため)
メリット
- 退職前と同じ保険証が使える(保険給付の内容が同じ)
- 扶養家族がいる場合、追加保険料なしで家族も継続できる
- 退職直前の年収が高くても、上限があるため保険料が抑えられる場合がある
デメリット
- 保険料が在職中の約2倍になる
- 2年間で任意に脱退できないケースがある(2022年の法改正で任意脱退が可能に)
- 傷病手当金は任意継続では新たに受けられない
保険料の例(協会けんぽ・東京都・2024年度)
| 退職時の月給 | 在職中の自己負担/月 | 任意継続の保険料/月 |
|---|---|---|
| 20万円 | 約1.0万円 | 約2.0万円 |
| 30万円 | 約1.5万円 | 約3.0万円 |
| 40万円以上 | 約1.5万円〜 | 上限約3.0万円(30万円で計算) |
月給40万円以上の方は、任意継続の保険料に上限があるため、国保より安くなることがあります。
2. 国民健康保険(国保)
市区町村が運営する健康保険です。
保険料の仕組み
- 前年の所得に基づいて計算される
- 自治体によって保険料率が異なる(最大で2倍近い差)
- 扶養の概念がない:家族一人ずつに保険料が発生
メリット
- 退職翌年に収入が大幅に減ると、保険料も下がる
- 減免制度がある(失業・所得減少時)
デメリット
- 退職直後は前年の高い所得で計算されるため、保険料が高くなりがち
- 扶養家族分の保険料も発生する
軽減・減免制度
会社の倒産やリストラ(特定受給資格者)、雇い止め(特定理由離職者)の場合、前年所得を30/100に軽減して保険料を計算する制度があります。
自己都合退職の場合は原則として軽減の対象外ですが、自治体独自の減免制度がある場合もあります。窓口で確認してください。
3. 家族の扶養
配偶者や親が会社員で健康保険に加入している場合、その被扶養者になれます。
条件
- 年収130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
- 被保険者の年収の1/2未満
- 同居の場合:上記を両方満たす
- 別居の場合:被保険者からの仕送り額より収入が少ない
メリット
- 保険料ゼロ(追加負担なし)
- 手続きが比較的シンプル
デメリット
- 年収制限が厳しい(失業給付の日額が3,612円以上だと扶養に入れない場合あり)
- 扶養に入ると自分の厚生年金加入期間にカウントされない
どれを選ぶべきか?判断フローチャート
- 退職後の年収が130万円未満で、家族が会社員? → 扶養が最安(保険料ゼロ)
- 退職時の月給が高い(40万円以上)? → 任意継続が有利な可能性(上限あり)
- 退職翌年に収入が激減する見込み? → 国保が2年目から安くなる
- 扶養家族がいる? → 任意継続なら家族分の追加保険料なし
- 迷ったら? → 任意継続と国保の保険料を両方試算して比較
保険料比較の例
単身・前年年収400万円・東京都の場合
| 選択肢 | 月額保険料(概算) |
|---|---|
| 任意継続 | 約3.0万円(上限適用) |
| 国保 | 約3.5万円(1年目) → 約1.5万円(2年目・無収入時) |
| 扶養 | 0円(条件を満たす場合) |
扶養家族あり(配偶者+子1人)の場合
| 選択肢 | 月額保険料(概算) |
|---|---|
| 任意継続 | 約3.0万円(家族分の追加なし) |
| 国保 | 約4.5万円(家族分の均等割が加算) |
よくある質問
Q. 退職日が月末と月初で保険の切り替えは変わる? A. 社会保険の資格喪失日は退職日の翌日です。例えば3月31日退職なら4月1日から、4月1日退職なら4月2日から国保等に切り替わります。退職日の月末・月初の違いについて詳しく
Q. 任意継続と国保は途中で切り替えられる? A. 任意継続から国保への切り替えは可能です(2022年法改正で任意脱退が認められました)。国保から任意継続への切り替えは、退職日から20日以内の期限があるためできません。
Q. 退職後すぐに転職する場合は? A. 転職先で健康保険に加入するため、基本的に手続きは不要です。ただし、退職日と入社日の間に空白がある場合は、その期間だけ国保等に加入する必要があります。